行政書士資格試験「勉強方法」のコツ・ポイント 15

「行政書士資格試験「勉強方法」のコツ・ポイント 15」のまとめです。

4全くの初心者なら、憲法だと思います。
すべての法律は、憲法に記載された統治機構の実際の運用と人権保障の方法について書いてあるからです。
また、学説対立が多いのも憲法の特徴ですので、それぞれの学説がどういう考え方をしているかを知ることにより、法律を考えるというのがどういう行為なのかわかると思います。さっくり言うと、その学説対立がそのまま出題されてもおかしくありません。

憲法が済んだら、次は民法をやることをおすすめします。身近な問題なので学んで楽しいということもありますが、全体を理解するのが難しいからということもあります。民法の問題は、ほとんどが「複数人が登場して何らかの権利義務関係に立っている」というシチュエーションが与えられ、この場合適用できるルールはなにか、という形で出ます。手元に過去問があるのですが、パラッと1問見てみますと、A、B、Cの連帯債務で、時効の援用が問われたり、相殺が問われたり、あるいは連帯債務の性質について問われたりしています。頭の引き出しから、このシチュエーションで適用できるルールは…と的確に検索できるようになるには訓練が必要ですので、民法には時間をかけたほうが良いかと思います。似た制度を比較しながら勉強すると良いです。錯誤無効と詐欺取り消しの共通点、相違点。委任と事務管理の共通点、相違点。あるいは、「善意の第三者」が問題になる制度がいくつかありますが、それぞれどう違うか、とか。
次は行政法かな。行政法の基礎理論の理解には、憲法の学習が多いに役立つでしょう。行政法は、行政手続法、行政不服審査法、行政事件訴訟法、情報公開法と細かい法律が多く、似たような話が何度も出てきます。「国民の権利保護」という観点から見れば、なぜ似通ってくるかわかりますので、大枠をまず把握してください。把握できたら、実際の運用の都合上で相違点が出てくることが理解できるはずですので、混乱しないように相違点を覚えてください。大枠が同じであることをいいことに、相違点を考えさせて混乱させる意地の悪い問題が行政法の特徴です。国家賠償法はすごく短い法律ですので、判例が重要です。判例六法を買ってください。一番手頃な有斐閣版で十分です。地方自治法は逆にすごく長い法律ですので、学ぶのが大変ですが新書版で1問1答みたいな内容の本が出ています。そういうものを使うか、あるいは1問しか出ないと思いますので最悪捨てるのも手です。

次は商法ですね。機関設計が柔軟になった分、いろいろな会社の形態があり得ることになり記憶量が膨大になりますが、取締役設置会社/非設置会社、監査役設置会社/非設置会社などで分け「ああ、これがあればたしかにこっちはいらないな」というように理解していけば良いと思います。行政法と民法で十分点が取れる自信があり、会社法は難しいと感じたら、機関設計についてはこれも捨てましょう。持分会社か商行為で1問出ると思いますので、これだけは確実に取りに行きましょう。
ここまでやれば、基礎法学は自ずと身についていると思います。

一般知識等ですが、これが厄介ですね。まず、最後に出る文章問題は簡単ですので3問とも取りましょう。情報通信・個人情報保護はITパスポート程度の知識があれば取れると思います。企業会計が出ることがありますが、簿記3級くらいの知識で解けると思います。政治・経済・社会ですね…これは正直予測不可能です。日頃からマスコミの報道に関心を持っておくくらいしか対策がありません。ですが、文章理解・情報通信・個人情報保護・企業会計が取れれば足切りは免れると思うのですが。

 

4>勉強する科目順は、①憲法②行政法③民法④商法⑤一般知識でいいですか?
それで問題ないと思いますが、できれば、行政法の前に民法を学習したほうがベターだと思います。

民法の知識・理解(例えば、信義則、取消と無効、時効、不法行為等)は、行政法の学習の中でいろいろと登場します。先に、民法を学習しているのとしてないのとでは理解の進み具合がかなり違ってくると思われます。また、民法は得点に結びつくまで時間がかかりますから、なるべく早い段階から学習をスタートし、何度も復習を反復する必要があります。

なので、法令科目では、①憲法②民法③行政法④商法の順がよく、一般知識の政治経済分野についても、ある程度早い段階から別枠で学習をスタートされるとよいと思います。